サイエンス

2025.07.03 16:15

52万部のベストセラー『妻のトリセツ』が説く「女性脳との会話」、その黄金則

Getty Images

Getty Images

52万部のベストセラー『妻のトリセツ』(黒川伊保子著、講談社刊)をご存じだろうか。

アマゾンの同書のページには以下のようにある。

本書は、脳科学の立場から女性脳の仕組みを前提に妻の不機嫌や怒りの理由を解説し、夫側からの対策をまとめた、妻の取扱説明書である。

『妻が怖い』『妻の顔色ばかりうかがってしまう』『妻から逃げたい』という世の夫たちが、家庭に平穏を取り戻すために必読の一冊でもある

著者の黒川伊保子氏はAI開発者としてヒトの脳の回路をコンピューターに実装する研究を続けてきた人物。人間の思考パターンをデジタルで再現することに取り組み、90年代に早くも「世界初」の日本語対話ボットといわれる「日本語対話型女性司書AI」の開発に成功している。

そんな黒川氏が男女の脳機能パターンの違いをクリアに解説し、「よりよい男女の対話の在り方」を提案した同書から以下、転載で紹介する。


「心」 と 「事実」 、 女の会話は2回線


まず、女性脳では会話の感じ方が4パターンある。


1.心は肯定——事実も肯定

2.心は肯定——事実は否定

3.心は否定——事実は肯定

4.心は否定——事実も否定

女性脳同士の会話では、基本3.と4.は使わない。つまり、事実を肯定しようが否定しようが問題ないのだが、共感のために会話をする女性脳は、心=気持ちを否定したら話が成り立たないだけでなく、人間関係が成り立たないのだ。

妻はまた、「君を幸せにするよ」と誓った夫が、心を否定してくるとは夢にも思っていない。しかし、男性脳は、基本的に「事実」と「心」を使い分けることはしないので、それがひどく冷酷に感じられるのである。

例:「パターン3で大失敗」のケース

具体的な例を挙げて説明しよう。深夜零時近くに帰宅した夫に、妻が中学1年生の息子との間で起きた諍いについて話し出した。妻が言うには、息子の生活態度が目に余ったので叱った。しかし、あまりにも反抗的な態度だったので「出て行きなさい。帰ってこなくていい」と怒鳴ってしまった。息子は携帯も財布も持たずに自転車に乗って出て行き、夫が帰る少し前にようやく戻ってきた。12歳の息子に出て行けなんて言うべきじゃなかった。息子に何かあったらと、不安で胸がつぶれそうだったという。

夫は、「君って、本当にそういうとこあるよな〜。でも男の子は叱ることも必要だよ。帰ってきたんだからよかったじゃないか」と答えたという。妻は、夫の言葉にますます打ちのめされてしまい、すっかり自信をなくしてしまった。

Getty Images
Getty Images

このケース、夫は別に妻を責めてはいない。本人が言いすぎたというから、その通りだと同意しただけだし、叱ることも否定していない。さらに息子が無事帰ってきたことも喜んだ。いったいどこがいけないのか?


夫が使ったパターンは3.。心を否定して、事実は肯定している。「女性脳との会話の黄金ルール」その
1は、絶対に心を否定しないことなのだ。

「あー、それは、胸が痛かったろうね。無事に帰ってきてよかった」と、妻を抱きしめるべきだった。ここまで動揺している妻に、正論を突きつける必要はない。

最初の夫の言葉で言ってはいけなかったのが「君ってそういうところがある」の部分。今まで頑張ってきた子育てが、全否定された気分になるひとことだ。

『妻のトリセツ』(黒川伊保子著、講談社刊)
妻のトリセツ』(黒川伊保子著、講談社刊)


advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事