ビットコインの価格はここ数日間、比較的狭いレンジ内で推移しているが、10万ドル(約1450万円。1ドル=145円換算)付近に非常に堅固なサポートラインが形成されているとアナリストのティム・エネキングは述べている。ここでいうレジスタンスライン(上値抵抗線)は、価格が頭打ちとなり上がりにくい水準で、サポートライン(下値支持線)は価格が下げ止まりやすい水準を指す。
10万ドル(約1450万円)は「レジスタンスライン」から「サポートライン」へ
「過去数週間のビットコインの価格動向で最も重要なのは、10万ドルのラインが維持されていることだ。以前は壁と見なされていたレジスタンスラインだった10万ドルが、今では強力なサポートラインに転じた」と、デジタル資産に特化した運用会社Psalion(パリオン)のマネージング・パートナーであるエネキングはEメールでコメントした。
「10万ドルが強固な底値となった一方で、現在のレジスタンスは11万ドル(約1595万円)付近となっている。私はこの水準のほうが、現行の史上最高値の11万2000ドル(約1624万円)よりも壁としては強力で、より重要な意味を持つと考えている」と彼は主張している。「これらの水準が突破されれば(それはほぼ間違いなく近いうちに起こると考えられる)、ビットコインは再び急騰し、現行の最高値を大きく上回る新たな高値を記録するはずだ」とエネキングは述べている。
専門家が指摘する次の重要価格帯
一方、暗号資産ヘッジファンドBitBull Capital(ビットブル・キャピタル)のジョー・ディパスクァーレCEOは、それよりわずかに高い価格を次の重要なレジスタンスに挙げている。
「ビットコインが10万5000ドル(約1522万5000円)前後で推移する中で、トレーダーは次の重要なレジスタンスとして11万2000ドル(約1624万円)を注視している。この水準を超えれば、12万ドル(約1740万円)がすぐに視野に入る可能性がある」
一方で、サポート水準についてもいくつかの重要な価格帯があるという。「下値に関して言うと、短期的には10万ドルがサポートとなる。この水準を割り込むと、ビットコインは9万5000ドル(約1377万5000円)を試す可能性があり、9万ドル(約1305万円)付近にさらに強いサポートがある」とディパスクァーレは述べている。
「現状は、引き続き強気水準にあるが、史上最高値に近づくにつれて、ボラティリティが高まり、利益確定売りが生じやすくなる」と彼は付け加えた。
地政学リスクと「ミニ・ブラックスワン」への警戒
TikTokで「ウェンディO」を名乗るインフルエンサーも、自身のテクニカル分析と価格変動を後押しする要因について言及している。「ビットコインは現在、10万2000ドル(約1479万円)のサポートと、11万1000ドル(約1609万5000円)の史上最高値の間で揉み合っている。このような横ばいのパターンが見られるときには、上下どちらかに大きな値動きが発生する可能性がある」と彼女は指摘した。
「最近ではトランプ大統領とイーロン・マスクの不仲というニュースによってサポートラインを一時的に割り込む混乱が生じたが、これは『ミニ・ブラックスワン』(予測困難で小規模な混乱を招く事象)であり、トレンドを破壊した」と彼女は指摘した。
「現状の地政学的緊張や経済の動向、金利に関する決定、さらに紛争などの要素を踏まえると、今後のビットコインの動向を見極めるためには、ニュースを注視しておくことが賢明といえる。何らかの動きがあれば、そこから極度のボラティリティが生じる可能性がある」とウェンディOは述べている。