ヘルスケア

2025.06.19 18:00

今日から始める認知症予防、米アルツハイマー研究の第一人者に聞く「脳をケアする6つの行動」

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「I」は友人との交流(Interaction with friends)を意味する。タンジ博士によれば、孤独はアルツハイマー病のリスクを2倍にするという。2023年、アメリカ公衆衛生局長官のヴィヴェック・マーシーは、孤独を深刻な精神衛生上の危険として挙げた。研究では、社会的なつながりは脳の健康を改善することが分かっている。社会的関与のレベルが高い人ほど、認知症に関連する脳の領域である灰白質がより強固だったのだ。

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「E」は運動(Exercise)を意味する。定期的な運動は心拍数を高め、血流を改善し、認知機能低下のリスクを減らすことに役立つ。タンジ博士によれば、運動は新しい神経細胞の成長を促し、アルツハイマー病で影響を受ける脳の部位を強化し、脳内のアミロイドを分解するきっかけになるという。彼は、自分に合った運動を見つけることが重要だと話し、脳の健康に影響を与えるためには、まずは小さなことから始めて、推奨される運動量である週150分まで、徐々に運動量を増やしていくことを勧めている。

「L」は、新しいことを学ぶこと(Learning new things)を意味する。新しいことを学ぶことで、主要な脳回路がリセットされ、脳の適応的学習を促進し、新しいアイデアを既存の神経系に含める能力を高めることができる。「新しいことを学ぶと、神経同士のつながりであり、記憶を保管する働きがあるシナプスが強化され、その数が増えます」とタンジ博士は言う。「シナプスの減少は認知症の程度と最も相関しています。シナプスの数が多ければ多いほど、その減少に耐えうるだけの余力があるのです。パズルを解くことだけが答えになるとは限りません」

彼は最近のHarvard Healthの論文を引用し、「新しく、挑戦的な活動を実践することは、認知能力を高め、維持するための良い方法である」と結論付けている。彼は、新しい言語を学んだり、教室に通ったりするような活動は、脳の健康にとって大きな利点があると示唆している。

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最後に、「D」は食生活(Diet)を意味する。ビタミンBは脳の健康に不可欠で、卵、全粒穀物、魚、アボカド、柑橘類に多く含まれている。タンジ博士の意見では、脳に最も良い食事は、赤身の肉を最小限に抑え、果物や野菜の食物繊維が豊富な地中海食のような食事だと言う。「野菜ベースの食事は、腸内マイクロバイオームと呼ばれる腸内細菌のバランスを整えます。健康な腸内マイクロバイオームは、脳内細胞の天敵であるアミロイド・プラークや脳の神経炎症を抑えることが示されています」

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翻訳=江津拓哉

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