北米

2025.06.17 12:00

世界の富豪が「これ無しで生きられない」と話すプライベートジェットの現実

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保有資産が10億ドル(約1450億円。1ドル=145円換算)を超えるビリオネアになれば、ピカソの絵画を購入したり、大物シンガーを招いた内輪のパーティーを開いたり、宇宙旅行に出かけたりと人々が考えるあらゆる贅沢を楽しむことが可能だ。では、彼らにとって絶対に欠かせない贅沢とは何なのだろう? フォーブスはそれを知るために世界中のビリオネアたちにアンケート調査を行い、40人から回答を得た。

最も多かった答えはプライベートジェット、その理由は?

最も多かった答えはプライベートジェットで、12人がこれを挙げた。もちろん、これはこの調査に回答した富豪のみの数であり、実際にプライベートジェットを所有するビリオネアは何百人もいる。では、なぜそれほどまでに自家用ジェットに価値があるのか。その多くの理由は「時間の節約」にある。一般的な航空会社の飛行機で移動する場合、空港までの移動やセキュリティチェック、搭乗、滑走路での待機など、たとえ遅延がなくても数時間が必要だ。

一方、プライベートジェットであれば、搭乗者は空港に到着してすぐに離陸でき、空港の選択肢も大幅に広がる。たとえばテキサス州のような広大な面積を誇る州は、小型機のニーズが高く、民間人が利用可能な公共用空港が389カ所あるが、そのうち定期航空便が運航されている商用空港はわずか25カ所と、全体の6%に過ぎない。

贅沢品ではなく、ビジネスツール

「私の場合は、事業拠点が多いためプライベート機なしでは移動が不可能だ」と話すのは、富裕層向けラグジュアリー輸送や不動産など数十のビジネスに投資するビリオネアのデビッド・ホフマンだ。彼はフロリダ州ネープルズを拠点としているが、サンディエゴやミネアポリス、シアトル、セントルイスなど全米各地でビジネスを展開している。

東欧のアルバニアを拠点に小売業と不動産業を運営するサミール・マネも同意見だ。「事業を展開している国々との間に良い航空便がないため、自分のジェット機を購入した」と彼は話す。アルバニア初のビリオネアであるマネは、同国の首都ティラナを拠点にしている。サラエボにある店舗を視察する際、プライベートジェットなら所要時間は20分で済むが、商用便では丸1日かかるという。

「私がもし、ロンドンやフランクフルトを拠点にしていれば、航路が充実しているので自家用機は不要だっただろう。しかし、アルバニアにいる限りプライベート機は欠かせない」とマネは語った。

航空機ブローカーCFSジェッツの営業担当副社長を務めるヒュー・チャサムは、「多くの企業は、幹部が1日のうちに国内の複数都市を往復できなければ事業が立ち行かない」と指摘した。また、不動産関連の投資家ラリー・コナーは「これは贅沢品ではなく、ビジネスツールだ」と調査に回答した。

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編集=上田裕資

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