華やかな存在感。その姿に「経団連」を想像できる人がいるだろうか。大山みこは、大学院で国際経済学を修め、経団連に入局。3年目で当時の会長・奥田碩(トヨタ)が主導する新ビジョン構築プロジェクトのメンバーに抜擢された。米コロンビア大学大学院に留学して政策決定プロセス等を学び、御手洗冨士夫(キヤノン)会長時代に女性初の会長政策秘書に就任。だが当初は、こんな“洗礼”も受けた。
「会長の名代として外部との交渉の場に赴くと『男性に代わって』と。お茶くみ係と思われたこともありました」
現在はDEIなどの政策推進にも携わる。昨年は「選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言」の公表に尽力。現状の制度がビジネス上のリスクになっていることを可視化した。
ワシントン駐在時代、国際社会では見た目を含めた「人に与える印象」がビジネス成果に直結すると考えるエグゼクティブが増えていると感じたことから、国際イメージコンサルタントの資格を取得。経団連の業務の傍ら、顧客が個性を発揮できる印象戦略づくりを理論的にサポートしている。
自身も、個性を貫いてきた。集団のなかでは向かい風もあったが、ある女性経営者にかけられた言葉に救われた。「目線を下げてはダメ、いつもGraceful(優雅)でいなさい」。周囲に合わせれば安心かもしれないが、突き抜けることはできない──。その眼差しは常に高みを見据えている。
おおやま・みこ◎東京都生まれ。1999年、経団連入局。米コロンビア大学大学院留学を経て会長政策秘書、経団連米国代表、戦略国際問題研究所客員研究員等を歴任。2020年「CATCHY」を設立、個性をビジネスに活かす印象戦略コンサルティングも行う。