アップルは今年、iPhoneをはじめとするソフトウェアを抜本的に刷新し、OS(オペレーティングシステム)の命名法も大幅に変えるという。つまり、従来「iOS 19」と呼ばれるはずだったソフトウェアは、実際には「iOS 26」となる。本稿では、その意味とアップルエコシステム内の他製品への影響を説明する。
アップルは米国時間6月9日(日本時間6月10日)、カリフォルニア州クパチーノで今年の世界開発者会議(WWDC)を開催する予定だ。過去10年で最大規模とされる今回のソフトウェア刷新の一環として、同社はOSの命名体系を根本から変更すると報じられている。
従来のiOS 19、iPadOS 19、macOS 16、tvOS 19、visionOS 2ではなく、アップルはすべてのOS番号を翌年を示す数字で統一する方針だ。自動車が翌年モデルの年式で呼ばれるのと似た方式である。ブルームバーグのマーク・ガーマン記者は、この変更は「ブランドの一貫性を高めるため」だと伝えている。
この動きには前兆があった。たとえばtvOSとiPadOSは、アップデート回数が大きく異なるにもかかわらず、すでにiOSと同じ番号を採用している。
ガーマンは「次期アップルOSはバージョン番号ではなく年号で識別され、現行のiOS 18の次世代は『iOS 26』に置き換わる。ほかのOSもiPadOS 26、macOS 26、watchOS 26、tvOS 26、visionOS 26としてリリースされる」と関係者の話として報じている。
複数のOSがばらばらの番号を使う現状を考えれば、一貫性を図るという目的には合理性がある。
サムスンは2020年にGalaxy Sシリーズの名称を発売年に合わせ、「Galaxy S20」として投入した。Galaxy Sシリーズは年初、しばしば1月に発表されるため、番号をその年に合わせるのは自然だ。
アップルも過去にiLifeやiWorkといったソフトウェアで同様の手法を採用している。2007年8月のリリースは「iLife 08」と「iWork 08」と呼ばれ、iLife 11は2020年10月に発売されたとガーマンは指摘する。ではmacOSの名称はどうなるのか。
OS X時代から、アップルはMac用OSに大型ネコやカリフォルニア州の地名を与えてきた。WWDCではクレイグ・フェデリギ上級副社長がマーケティング部門を茶化しつつ新名称を披露するのが恒例だった。新方式でも接尾辞を付けること自体は排除されておらず、理論上は「macOS 26 Miramar」のような名づけ方も可能だが、おそらく採用されない。WWDCの風物詩も変わるかもしれない。
一方、iPhone本体の名称が年号方式に合わせて変更されるとは考えにくい。iPhone 17の代わりに「iPhone 26」を名乗れば、ラインナップに残るiPhone 16が急に時代遅れに見えてしまうからだ。真相が明らかになるまで2週間足らずとなっている。