「『TOEICの点は意外と高いのに話せない』『会議になると黙ってしまう』。
その原因は、英語力そのものではなく、“英語の定義”にあるのかもしれません。
必要なのは『読む・聞く・書く・話す』だけではなく、相手と関係を築き、相手と接続し、共に考えを深める「対話力」。そしてカギは、“完璧を目指す”のではなく、 「伝えること」を重視したシンプルな英語の練習です」
こう話すのは、元英検面接委員であり、英語学習関連書籍や教科書19冊以上の著者であり、「Simple English/シンプルイングリッシュ®」を日本で初めて提唱した酒井一郎氏だ。
酒井氏が提唱するのは、「Easyモード英語攻略法」。特徴は明快だ。難しい単語や文法にとらわれず、シンプルな英語で「話す力」を先に育てる。そのうえで英検やTOEICといった試験に取り組むことで、試験も会話も同時に効率よく習得できるという。
以下は、酒井氏の寄稿である。
中学英語レベルの語彙と構文が武器
知っている単語で、自分の意思を伝える。 短くても、自分の言葉で話す。この基本からやり直すことが、 逆転への第一歩になります。具体的には、中学英語レベルの語彙と構文を使い、 自分の考えを声に出して伝える練習を積むこと。
たとえば、こんな「話し始めの型」を覚えて使ってみましょう。
これらのパターンを使うことで、 自分の考えを短く言えるようになります。日常やビジネスシーンを想定しながら、 「自分ならどう言うか?」を考え、 実際に声に出して練習してみてください。
同じテーマで繰り返し話してみるだけでも、 「英語で話すこと」へのハードルはぐっと下がります。
さらに、相手の発言にうなずく、共感する、意見を返す——。 この“反応する力”を磨くことも、 対話力を高めるうえで欠かせません。
英語は情報処理ではなく、会話のキャッチボール。シンプルでも、自分の言葉で返す力をつけることが、 実践的な英語力に結びついていきます。