中国のフィギュアメーカーPop Mart(ポップマート)の創業者で会長の王寧(ワン・ニン)の保有資産は、香港市場に上場する同社の株価が4月25日に一時約13%急騰したことを受けて、一日で16億ドル(約2300億円)も増加した。
現在38歳の王が率いる同社の株価は、年初来で2倍以上に上昇しているが、その背景にはポップマート限定生産のフィギュアが、中国の若者の心をつかんだ後に、世界で熱狂的なファンを獲得したことが挙げられる。フォーブスは、2010年に同社を創業した王の保有資産を161億ドル(約2兆3000億円)と推定している。
米中対立の激化にもかかわらず、米国のポップマートのファンたちは数量限定のフィギュアを求めて、徹夜で店舗に並んでいる。歌手のリアーナは先日、Labubu(ラブブ)と呼ばれる同社の人気フィギュアの一つをバッグにつけている姿を目撃された。
このフィギュアの人気の高まりを受けてポップマートの公式アプリは、25日に米国アップルのApp Store 無料ショッピングアプリのダウンロードランキングで1位に急浮上した。Labubuのフィギュアを集めているセレブとしては、他に韓国のガールズグループ、BLACKPINKのリサが知られている。
「ポップマートの株価は、米国のアプリストアにおけるランキング上昇とフィギュアの人気の高まりを受けて急上昇した」と、香港の証券会社エバーブライト・セキュリティーズのストラテジストであるケニー・エンは述べている。
ポップマート株は現在、2025年の予想EPS(1株当たり利益)の約40倍で取引されており、エンは「今後の成長ポテンシャルを考慮すれば、高すぎる水準ではない」と述べている。
ポップマートは3月の決算発表で、2025年の総売上高が前年比50%増の200億元(約3900億円)に達する可能性があると発表した。同社のフィギュアは特に東南アジアで好調で、会長の王は今後も海外での売上の伸びに強気な見通しを示している。
2024年のポップマートの総収益は130億元(約2500億円)で、その約40%が中国本土以外からの売上だった。通年の純利益は31億元(約6000億円)で、前年比で約200%の増加だった。